連載の続き、公開開始!
文芸批評 デュマ「ダルタニャン物語」
第5回
「三銃士続々編『十年後 ブラジュロンヌ子爵』その2 ついに銃士隊長になったダルタニャン、ルイ14世を脅かす財務卿フーケの領地に変装して潜入!」
https://note.com/doiyutaka/n/ned9eba11f447
鈴木力衛訳『ノートルダムの居酒屋』〜ダルタニャンの行手には、アラミスの策謀の影が
※前回
文芸批評 デュマ「ダルタニャン物語」 第4回
「三銃士続々編『十年後 ブラジュロンヌ子爵』まさかの!ダルタニャン50代! 初老でも大活躍」
https://note.com/doiyutaka/n/ndbce6c592ce3
鈴木力衛訳『将軍と二つの影』〜ダルタニャンとアトスの大活躍
本作『十年後 ブラジュロンヌ子爵』を、講談社文庫の鈴木力衛訳では、全6巻に分割しているが、まず『将軍と二つの影』の巻をみていこう。
流浪の英国王チャールズ2世を、ダルタニャンとアトスがそれぞれ別個に、お互いそうと知らないまま救うべく行動を開始したところから、物語の展開に加速度がついていく。
本文より
《「朕は国家なり」で知られるフランス王国のルイ14世、この肖像でも知られているが、この絵は晩年のものだ。本作でのルイ14世は、若い国王として宰相マザラン枢機卿の支配を脱し、国王親政を始めようという時期の直前である。前作『二十年後』での幼いルイは、母親の大后アンヌ・ドートリッシュと宰相マザランの操り人形だった。その後十年、マザランは年老いて病魔に苦しんでおり、青年国王ルイは自身の権力を模索している。
そんな折り、英国のチャールズ2世が内乱からの亡命状態で密かにフランスを訪れ、若きルイ14世に助力を求めにやってくる。ちょうど国王警護に当たっていた銃士隊副隊長ダルタニャン(前作で隊長になれたはずが、マザランに反故にされていた)は、若き英国王をみて驚き、かつてその父親チャールズ1世のために奮戦した過去を思い出す。この辺のエピソードは、前作『二十年後』で紹介されている。
ルイ14世は隣国のおちぶれた王に同情するが、頼まれた援助は宰相マザランがあっさり拒否する。まだルイにはマザランに逆らうことはできなかった。
最後の希望を断たれたチャールズ2世をみて、ダルタニャンは一計を思いつく。不甲斐ない国王とずるい宰相に見切りをつけ、一世一代の賭けに打って出るべく、銃士隊の職を辞するのだった。ここで、前作のプランシェとの友情が伏線となって、物語に絡んでくる。
一方、そうとは知らないチャールズ2世は、帰路、偶然にアトス=ラ・フェール伯爵と出会う。アトスは前作で、チャールズの父・1世の処刑の直前、息子のために残した資金を遺言として教えられていた。今こそ、その遺言に従う時と思って、アトスはチャールズ2世に父親の遺産のことを教え、その資金を取りに行って王座に復帰するための戦いを始めることを提案する。
こうして、前作からの約束を守ろうとするアトスと、それと知らずに同じ目的のために動き出すダルタニャンの、両者の同時進行で物語は進み始まるのだ。》
※前回まで
土居豊の文芸批評 デュマ「ダルタニャン物語」
第1回「デュマ(父)は、フランスの司馬遼太郎か?〜 三銃士VS竜馬がゆく」
https://note.com/doiyutaka/n/ndc19e8d728cb
第2回「誰もが知る『三銃士』はなぜ4人? 実は『ダルタニャンと三銃士』ということ」
https://note.com/doiyutaka/n/n37020eadaffd
第3回「三銃士続編『二十年後』 まさかの!ダルタニャン40代! 男盛りの大活躍」
https://note.com/doiyutaka/n/necbe7c12620a
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